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総務vol.17

定着率の高い職場作り 第8回 「育たない。すぐに辞める」を根絶する特効薬 メンター制度の導入で、若手社員を育成し、職場へ定着させる

特定社会保険労務士・行政書士 江口 隆

1973年一橋大学経済学部卒業、日本航空に入社。総務、労務等を歴任後、2007年退職。2009年2月江口労働法務事務所開設。特定社会保険労務士、行政書士。2009年青山学院大学大学院法学研究科修士課程修了、2009年4月より筑波大学大学院企業科学研究科企業法コース博士課程在籍。2009年4月より広島労働局から中小企業指導員を委嘱。

若手社員が入社し、順調に育てば企業は強くなる。ところが「育たない。しかもすぐに辞める」と悩む経営者は多い。この悩みを根絶するための特効薬がある。メンター制度の導入だ。

「メンター」は、まだ定着したとは言えない用語だが、仕事やキャリアの先輩として「お手本」になり、精神的サポートも含めて親密なアドバイザーとなってくれる人のことを言う。昔風に言えば「世話役」のようなものである。本稿では、メンタリング(仕事や社会経験豊富なメンターから継続的なサポートを受けること)の効用を紹介したい。

メンターとは「面倒をみる人」

「メンター」という言葉を知っている人は、メンタル(精神的)な指導をするから「メンター」と思っている人が多いが、実は違う。古代ギリシャの叙事詩に登場する老賢人「メントール(Mentor)」が語源であり、ヨーロッパに大学ができたころ、大学で学生を個人的に指導し、学生たちを一人前の知識人、専門家に育てるための支援を行う教員のことをメンターと呼んだことに由来する。
人材育成策として「メンター制度」を最初に導入したのは米国企業であり、それが日本に紹介されて次第に広まっている。

メンター制度では「面倒をみる人」をメンターと呼んでおり、その役割は、面倒をみてもらう人に対して、人間関係・キャリア開発・能力開発などの悩みを聞き、事業・組織への疑問を解消してあげ、組織人としての人間的な成長を支援することだ。支援する範囲は多岐にわたっている。

メンター制度の導入が必要とされるわけは?

1980年代までの企業文化と、1990年代以降の企業文化は根本から変わった。20年前まで人材は自然に育つものだった。ところが現代では、放置された人材は育たない。その理由を整理すると、下記になる。

高度成長期に確立した終身雇用、年功序列の人事制度

⇒ 年上の先輩と年下の後輩が生まれやすい環境にあり、経験豊富な先輩が後輩を教えることは自然に行われ、先輩が後輩の面倒をみるという人材育成風土が醸成されていた。

バブル崩壊後の組織のフラット化や成果主義人事制度の導入

⇒ 年上の先輩が年下の後輩の面倒をみることが体制として困難となり、また先輩が後輩の面倒をみる余裕もなくなってきている。

その結果、若年層の組織適応を十分に支援できず、若年層の早期離職や若年層への技能伝承・次世代のリーダー育成に支障をきたしている。

記載された情報は一般的な情報であり、実際にご活用される場合には、別途専門家とお打合せ下さい。