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人事・労務vol.24

会社の成長を実現する人事 第6回 事業変革の成否は社員のモチベーションで決まる 就業条件変更時の社員のモチベーション低下を防ぐ方法

人材パワーアップコンサルティング株式会社 代表取締役社長
二宮 靖志

同志社大学卒業。松下電工(現パナソニック電工)株式会社人事労務部門、業務プロセス改革受託会社プロジェクトマネージャー、ベンチャー企業のマーケティング担当役員、人事制度・教育コンサルティング会社役員を歴任。2007年人材パワーアップコンサルティング株式会社を設立。上場企業・中堅企業の経営課題に直結する組織・人事改革をはじめ、目標管理、戦略実行の現場指導に定評がある。組織活性化・人材開発に関する公開セミナー・雑誌寄稿など実績多数。東京商工会議所の各種研修講師を担当。

企業経営を考えるとき、企業組織を生命体にたとえて説明することがあります。

カラダを構成する「細胞」を社員にたとえ、社員一人ひとりが活躍する、つまり細胞が活性化している状態が、組織の健康向上・活力増進につながる、といったものです。

また、外部環境の変化に対応していないときには警告として、そうした企業を自然環境の変化に適応できずに絶滅した恐竜にたとえることもあります。

このようなたとえは、企業経営とは事業変革の連続であり、それに対応していくためには社員各人の力が必要であることを再認識するときに使われます。

経営者は、事業変革という企業の永続に欠かせないテーマを考える際、社員各人が力を発揮できるよう、経営人事において、組織機能や社員の働き方を事業変革に適応させることも同時に考えなければなりません。

しかしながら、人事実務の側面では、就業条件の変更に時間がかかる、また就業条件の変更が社内のモチベーションを低下させるなどの問題により、社員の意識改革や能力向上のためのシステムづくりが、事業変革のスピードに追いつかないケースが多いようです。

そこで今回は、事業変革を成功させる秘訣として、就業条件変更時の社員のモチベーションを向上させるヒントを紹介します。

人事制度・就業ルールを変える意義をどう伝えるか

外部環境に目を向けると、日々顧客からの要望が高度化し、またライバル企業が攻勢をかけてきます。このような外部環境の変化に打ち勝つためには、人員構造の歪(いびつ)さの是正、組織ポストの入れ替えなど、社内事業の再構築が欠かせません。

就業条件変更の背景には、こうした経営施策上の必要性があるものですが、このような場合に行われる変更の代表的なケースが「人事制度・就業ルールの改定」です。

人事制度・就業ルールの変更は、単に賃金を変えるだけではなく、事業変革のために組織も仕事の進め方も、そして処遇のあり方も変えることが目的であることを忘れてはいけません。

例えば、将来的に事業拡大を見通す企業であれば、事業推進体勢を整えるために、人材の抜擢や活用が柔軟にできる人事戦略への転換が必要になるでしょう。しかし、最近の経済状況の厳しさからすると、組織のスリム化と優秀な人材の登用で当面の難局を切り抜けながら、将来、会社の中核となる若手人材の育成を重視する人事戦略を選択する企業も多いと思います。

人事戦略は、個々の企業が実現すべき方向に合わせて決定することが重要ですが、せっかく立てた人事戦略を、いざ施策として展開する段階になると、目的達成に向かっていないケースを多くみかけます。

こうしたケースでは、再度人事制度を変える意義を社員に伝え、浸透させる取り組みが必要です。その際は、以下の4つのポイントを明確にしなければなりません。

  1. 「評価」を変えるということは、社員の働き方や仕事の内容に変化を生み出す仕組みを展開する意味がある。
  2. 「等級昇格」を変えるということは、人材の育成と活用のあり方を変える意味がある。
  3. 「給与」とは、会社内での立ち位置を示す仕組みであり、社員への期待をフィードバックする機能を持っている。
  4. 「賞与」は、全社業績を知り、業績への貢献を認める仕組みである。

4については、個々の企業で業績連動報酬のあり方を考えることが求められますが、これらのポイントをはっきりと伝えたうえで人事諸制度の改革に着手し、社員一人ひとりの活躍の方向性を明確に示すことが重要です。

それと同時に、社員が「それは会社のこと(他人ごと)」ではなく、「自分自身のこと」として捉えられるよう、それぞれの企業で外部環境の変化と将来の展望を認識させる工夫ができれば、より理解を得やすくなります。

記載された情報は一般的な情報であり、実際にご活用される場合には、別途専門家とお打合せ下さい。