「販促やマーケティングを成功させるためには、どうすればいいでしょうか?」。そんな質問をよく受ける。筆者はその問いかけには正面から答えず、逆に質問することが多い。
「伊右衛門やBOSSなど、飲料に人格名称が多いのはなぜでしょうね?」「お茶漬け、カレー、ハンバーガーショップなどが朝食市場を狙っているのはなぜでしょうか?」等々。いずれもマーケティング担当者の認識力を問うための質問だ。
今回は、筆者がマーケッターに最も必要な資質だと考えている認識力についての話である。
筆者が私淑する作家の阿佐田哲也氏(「麻雀放浪記」などの作者)は、ギャンブルや人生において、勝負に強くなるための要諦は認識力にあると喝破した。
もちろん知識や技術は大切である。しかし、それが一定レベルを超えた者同士の勝負では、最後は「ツキ」や「運」がものをいう。そのツキの流れや運の所在を正しく認識することがもっとも重要であるというのだ。勝負を決するのは認識の独創性であり、その認識力を磨くためには、人間・社会・歴史を洞察するトレーニングが欠かせない、と阿佐田氏は説いた。
販促やマーケティングの世界でも、それはまったく同じだと筆者は考える。何が売れるのか、どうやったら売れるのかは、実は誰にもわからない。そもそも客観的な正解など、どこにもないのだ。だとすれば、漠とした市場やユーザーの状況を自分がいかに認識するかの勝負になる。この連載でたびたび取り上げた「魔法の三角形(誰に、何を、如何に)」も、その認識を手助けする1つの方法論である。
魅力的な商品を開発し、それを売り切る販売促進策を立案するためには、マーケティングにおける認識力が何より大切だと思う。
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