家の改築、新築を考えている人が気になる言葉が「光触媒」。このタイルを外壁に使えば、いつまでも輝きを保ったまま。「半永久的に汚れが付かない」と言われると、ほんの少し高くなってもメンテナンスフリーを選ぶだろう。
光が降り注げば、そのエネルギーで汚れが分解される光触媒技術の発見は1960年代後半だが、実用化は1990年代に始まり、いまは普及期に入っている。そしてこれまでの光触媒技術は、太陽光の強いエネルギーが必要だったが、新材料が開発され、室内での実用化にも目処が付いている。
光触媒とは、「それ自身は反応によって変化しないが、光が当たると化学反応を促進する物質」を指す。われわれの身近にあるもっともポピュラーな光触媒は、植物の葉にあって光合成を促進するクロロフィルである。この場合にも光触媒のクロロフィル自体は変化せず、太陽光を受けて得た光エネルギーを使って、水から酸素が作られる反応を促進する。
日本発の光触媒技術の中核をなすのは酸化チタンだが、原理の発見には偶然が手伝った。
発見者の藤嶋昭東京大学名誉教授が大学院生だった1967年、酸化チタンの電極に紫外線を当てると、水が水素と酸素に分解する現象を発見した。恩師の本多健一教授(当時)と相談し、この実験結果を論文にまとめて英国の科学雑誌「Nature」に投稿したところ、1972年に掲載され、以来、発見者の名前から「ホンダ・フジシマ効果」と呼ばれるようになった。
この水素ガスが利用できれば、当時の新聞が伝えたように「太陽で夢の燃料を実現」ということになるが、いかんせん反応効率が低く、大量生産には向かないことがわかった。
これに代わる光触媒の新しい応用として考案されたのが、環境浄化技術としての応用である。
六本木ヒルズの外壁にもメンテナンスフリーの光触媒タイルが使われている。
実際、酸化チタンの表面で酸素と水が反応すると、強力な分解力を発揮する活性酸素が発生する。この活性酸素の働きを利用すれば、汚れのもととなる有機物を分解することができる。殺菌、防臭などの作用を含めて、光触媒の「光励起分解反応」と呼ばれているものだ。
折からTOTOの開発陣が関心を示し、共同研究が始まった。そこで生まれた最初の製品が、酸化チタンを表面に塗って焼き付けた「光触媒タイル」である。
1990年代を迎えると実用化時代に突入し、建物の外装材や高速道路の防音壁、手術室内壁(院内感染の原因になる細菌などを殺菌)、空気清浄機など浄化機器への応用が急速に始まった。
なかでもその効用を遺憾なくアピールしたのが、2005年オープンの中部国際空港への採用である。旅客ターミナルビルの滑走路側のほぼ全面に、表面が酸化チタン薄膜で覆われている光触媒ガラスを用いたことで、汚れが付きにくくなった。そのため大がかりな清掃は半年に1回で済むようになったばかりでなく、洗浄水の節水にもつながった。
記載された情報は一般的な情報であり、実際にご活用される場合には、別途専門家とお打合せ下さい。