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Business Watch

ヒット商品番付


2009年のヒット商品番付


2年振りの横綱復活! 〜『節約消費』が拡大し、官製特需に沸く〜

2009年11月26日発表

    西  
  ハイブリッド・カー 横綱 「キリンフリー」  
  官製特需
(エコポイント家電・1000円高速)
張出
横綱
該当なし  
  新型インフルエンザ対策
グッズ
大関 該当なし  
敢闘賞 「Fit’s」 関脇 「ドラゴンクエスト\」  
  『1Q84』 小結 「国宝 阿修羅展」 殊勲賞
  原監督&
WBC・日本シリーズ優勝
前頭1 東大生ノート  
技能賞 「ブローネ泡カラー」 同2 ガンダム30周年  
  GREE 同3 「iPhone 3GS」  
  韓国旅行 同4 弁当&水筒男子  
  ジーンズ激安競争 同5 ブランド付録つき雑誌  
  マイケル・ジャクソン
『THIS IS IT』
同6 ゆるキャラ  

殊…殊勲賞 敢…敢闘賞 技…技能賞 「」…商品名 『』…書籍名・作品名

<今後の注目株>電動スクーター(環境対応二輪車)、上海万博、LED電球


 

 景気の低迷が深刻化するなかで年明けを迎えた2009年、消費者の生活防衛意識は一段と深まった。消費者が支出の対象を厳選し、価値を認めた商品のみを購入する「節約消費」の傾向を強めた結果、個人消費は全体として盛り上がりに欠けたものの、「お買い得」「環境」「安全・安心」「交流(つながり)」など消費者のニーズにマッチした商品の売れ行きは好調であった。特に自動車や家電では、政府の消費刺激策により「お買い得」感が高まったことから高価格帯の商品販売が急増するなど、官製特需に沸いた年となった。


 

消費者のニーズを丹念に拾った本物商品がヒット

 消費者の環境志向を捉えて大ヒットを実現した商品の筆頭がハイブリッド・カーであった。ホンダ「インサイト」とトヨタ「新型プリウス」は、環境性能の高さと予想を上回る低価格設定により人気が過熱し、国内新車販売ランキングで上位を占めるなど、ハイブリッド・カーが国内自動車市場での地位を確立した。「キリンフリー」は、世界初の「アルコール0.00%」を実現した画期的なビールテイスト飲料としてドライバーを中心に多くの支持を獲得した。アルコールが飲めない場面や苦手な人でもビールを楽しむことができる新しいコンセプトが消費者に受け入れられ、他メーカーも続々と参入することで新市場を創出した。


政府の消費刺激策が後押し

 2009年は景気の低迷に対して政府から様々な消費刺激策が打ち出された。「エコカー減税・補助金」は国内自動車市場を支え、「エコポイント制度」により薄型テレビをはじめ「エコポイント家電」の販売に火が付いた。また「1000円高速」によりETCが普及し、高速道路を利用してレジャーを楽しむ消費者も増加するなど、官製特需がマーケット全体を下支えした。


節約消費時代に消費者の背中を押したもの

 ロッテのガム「Fit’s」は、「ガムを噛むと疲れる」という若者の声をもとに、噛んでも疲れないやわらかい食感を実現し、ガムで久しぶりのヒット商品を生み出した。また動画サイトでダンスコンテストを開催するなど、若者を巻き込むメディア・ミックス戦略で支持を広げていった。
 大人気ロールプレイングゲーム最新作のスクウェア・エニックス「ドラゴンクエストIX」は新たに「すれちがい通信」機能を付加し、他のユーザーと交流できるようにしたことも注目を浴び、前作をしのぐ販売数400万本を出荷するなど実力を見せつけた。
 村上春樹の小説『1Q84』は、発売まで徹底して内容を伏せ読者に飢餓感をもたらす販売促進方法が奏功して村上ファン以外も巻き込むことに成功し、「BOOK1」「BOOK2」併せて販売部数が200万部を突破した。
 奈良の興福寺創建1300年記念イベントとして東京国立博物館で開かれた「国宝 阿修羅展」は、仏像や歴史ブームに加え、阿修羅像を360度から眺められる仕掛けなどで人気を集めた。総入場者数は94万6172人と、同博物館の日本美術展として史上最多記録を塗り替えた。
 2009年は新型インフルエンザが猛威をふるい、マスクをはじめとして様々な新型インフルエンザ対策グッズの販売が拡大した。ウイルス除去機能付エアコンや空気清浄機、携帯用消毒液や体温計、うがい薬など各社の工夫を凝らした商品が出揃い、対策グッズの売上が大幅に増加した。


「お買い得」競争はつづく

 前年秋から続いている円高ウォン安によって、格安の韓国旅行に人気が集まった。旅行代理店によっては韓国旅行の売上が前年比2倍から5倍となるなど、隣国への旅行者が急増した。
 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、専門店「ジーユー」でジーンズ主力価格帯を引き下げ「990円ジーンズ」を販売し、大きな話題となった。その後立て続けに大手スーパー3社が800円台のジーンズ、ドンキホーテが「690円ジーンズ」を販売開始するなどジーンズ激安競争が展開されている。
 宝島社の雑誌『Sweet』は、ブランド小物アイテムなどの付録をつけて売り出したところ、売り切れとなる書店が続出した。その流れは各社に波及し、ファッション雑誌はブランド付録つきが定番となった。


消費者が「お買い得」の先に見るものは

 一方で企業のマーケティング努力が実を結び、「低価格」に埋もれずヒットした商品もある。
 太田あや著『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)によって、中高生や社会人のきれいにノートを取りたいというニーズが喚起され、同書とのコラボレーションで生まれたコクヨ「ドット入り罫線ノート」が1年間で1600万冊を売り上げるなど、東大生ノートが注目を集めた。
 花王の泡タイプ白髪染め新製品「ブローネ泡カラー」は、液体やクリームが主流の「白髪染め」の中、シャンプー感覚で染められる手軽さで年間1100万本を販売し老舗ブランドを抜いて首位に立ち、白髪染めとしては異例のヒット商品となった。
 ソフトバンクモバイルの携帯電話「iPhone 3GS」は、処理速度の向上と使い勝手の改善に訴求し発売後に全携帯電話で総合一位の販売台数を記録するなどの人気となった。
 無料携帯電話ゲームを提供するサイト「GREE」は、積極的な広告戦略と会員同士で釣果を自慢しあい交流できる仕掛けのゲーム「釣り★スタ」のヒットもあり、2009年に会員数を1500万人の大台に乗せ、先行する「モバゲータウン」に並んだ。
 食費の見直しを進め、職場や学校に手作り弁当を持参する弁当男子が増え、弁当箱や弁当箱の入るビジネスバッグの売上が伸びたほか、レシピ本も多く出版された。また、マイ水筒を持ち歩くスタイルが定着し、弁当箱と同様に売上を伸ばした。
 2009年はオリンピックなどのビッグイベントはなかったが、人々が感情を共有するイベントや出来事があった。「侍ジャパン」がWBC連覇を果たし国民に元気を与え、国内でも読売ジャイアンツがリーグ3連覇のうえ7年ぶりに日本シリーズで優勝するなど、原監督率いるチームの躍進に注目が集まった。
 ガンダム30周年を記念してお台場に作られた全高18メートルの実物大ガンダムは、当初予想150万人の約3倍の415万2000人を集め、また、記念のプラモデル付カップ麺や腕時計などのコラボレーショングッズが発売されるなど、大きな盛り上がりを見せた。
 2009年に急逝したマイケル・ジャクソンのコンサートリハーサルと舞台裏を収めたドキュメンタリー映画『THIS IS IT』は、3週連続興業収入ランキングトップとなり、累計興行収入は40億円に迫る。また訃報後のCDアルバム&DVD売上が200万枚を突破するなど、あらためて人気を証明した。
 一方、厳しい経済環境の中、ほっとするキャラクターに注目が集まった。2010年に奈良で行われる「平城遷都1300年祭」マスコットキャラクター「せんとくん」をはじめ、多くのゆるキャラが人々を和ませた。


2010年は環境関連とともに「原点回帰」の動向に注目

 2009年に引き続き、2010年も消費者の「節約消費」の傾向は強まり、それが「原点回帰」の現象を喚起すると思われる。すなわち消費者一人ひとりが本当に欲しい商品かどうかを原点に戻って判断する「事業仕分け」ならぬ「生活仕分け」が展開されるだろう。
 2010年も環境対応商品は引き続き注目が集まり、なかでもソーラーパネルは官製特需もあり伸びる可能性がある。またLED電球は、さらなる価格低下がトリガーとなって一般家庭に浸透するだろう。さらに「ハイブリッド・カー」の大ヒットを受けて2010年は、電気スクーター電動自転車などの環境対応二輪車にもブームが起こりそうだ。
 また2010年は、国際的イベントが2月に「バンクーバー冬季五輪」5月に「上海万博」6月から「サッカーW杯」と続き、完全地デジ化を前にして好調な薄型テレビ需要をさらに加速させるだろう。国内では平城遷都1300年を迎える「奈良」が、日本の原点として注目を集めると思われる。
 なお、ヒット商品を生むターゲット層で注目したいのは、購買力を持ちながらも買い控えしていると見られる団塊世代とともに、近年「ママギャル」が出現し年齢層が拡大しているギャルに代表される10代後半から20代の「元気」のある女性である。これらの層が来年の消費をリードしてゆくことを期待したい。

以上


本表は相撲の番付の形式を採用しているため、「東」と「西」に別れていますが、選ばれた商品と地理的な東西の関係はいっさいありません。対象となる商品は、個別の商品だけでなく一定のカテゴリーの商品群や人物・社会現象などを含みます。番付の順位は、出荷台数・売上高等の実績だけでなく、その商品がマーケットに与えた意義やインパクト・今後の成長性などを総合的に判断して決定しました。


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