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【Q】特許権があるのに、差し止め請求できないのはなぜ?

先日、松下電器産業に対して、同社が保有する特許権に関して、ジャストシステム社への差止請求権の行使を認めない旨の判決がありました。松下の特許権行使はなぜ認められなかったのでしょうか?


【A】裁判所は、独自に特許の有効・無効を判断し、特許権の行使を制限できる

進歩性に欠けるため、特許は無効と裁判所が判断

 ジャストシステムの主力ソフトウェア「一太郎」、「花子」に付いている「ヘルプモード」機能は、松下電器産業が保有する特許権に抵触するとして、2005年2月に間接侵害を認める判決が東京地方裁判所で下されました。
しかし、第2審の知的財産高等裁判所では、「ヘルプモード」に相当する「?モード」について記載された英語の本が松下電器の特許が出願される2カ月ほど前に米国で出版されており、松下電器が特許権を持つ発明は、この本の内容と周辺技術に基づいて容易になし得るので進歩性に欠け、特許は無効にされるべきものと判断され、2005年9月にジャストシステムに対する特許権の行使を認めない判決が下されました。ジャストシステムの逆転勝訴ということになります。


裁判所における特許権の有効・無効の判断は訴訟の当事者間にとどまる

 特許権侵害を争う訴訟においては、被告側が権利侵害の前提となる特許の無効理由を主張すれば、その特許の新規性・進歩性などの有効・無効を裁判所が独自に判断できます。
これは、特許庁に、その特許を無効にするか否かの審判が請求されているかどうかとは関係なく裁判所が判断します。もちろん、裁判所と特許庁との間では特許権侵害訴訟と無効審判の進捗状況に関する問い合わせや回答が行われています。
そして、その特許が無効にされるべきだと裁判所が判断した場合、被告に対する特許権の行使を認めない判決が下されます(特許法第104条の3)。

 この特許権侵害訴訟と無効審判との間には、以下のような関係があります。

1)無効審判の際に提出する無効理由の証拠と、特許権侵害訴訟の際に提出する無効理由の証拠は同じである必要はない
2)特許権侵害訴訟の際、裁判所における特許権の有効・無効の判断は、訴訟の当事者間についての判断にとどまる
3)権利侵害の前提となる特許請求の範囲(特許として権利を請求する技術的な範囲)が訂正されている場合、訂正後の特許請求の範囲には無効理由が無い場合でも、裁判所では訂正される前の特許請求の範囲に基づいて判断がされることがある

 特許権侵害について訴訟を起こす、あるいは被告となった企業は、このような点に注意しつつ、裁判に臨む必要があるでしょう。

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「解決情報」の内容につきましては、作成時点における事実や一般的な解釈を示したものである点をご了解の上、ご活用下さい。


弁理士 本田昭雄、福田特許事務所(2005年11月更新)


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