【Q】新しい発明を学会で発表する際の注意点は?
現在大学と共同でペット用新薬の開発を行っています。この新薬の合成方法について日本化学会で発表しようと思っています。新規の化合物であり、合成方法にもノウハウがある新薬に関する発明を日本化学会で発表する前に、特許権について何か注意することはありますか?
【A】例外規定に頼らず、発表前に特許出願するのが大原則
特許庁の審査の時に不利にならない例外手続きがある
特許法の場合、一度公開してしまった発明については特許を受けることが原則できません。しかし学会発表など、社会の発展に寄与する行為にまで、特許をまったく与えないのは不合理です。そのため、学会発表などの特別な場合には、その発表などにより審査の際に不利にならないように、例外規定(新規性喪失の例外、特許法第30条)の適用を受けることができるようになっています。
例外手続きに頼るのは危険。まずは発表前に特許出願を
このような例外規定に頼るのは危険です。というのは、この例外規定の適用を受けるためには、特許庁に対して一定の手続きをする必要があるからです。この手続きをうっかり失念した場合には、発表してしまった内容に関連する発明について特許を受けることができなくなります。
また、一言で学会といっても、この例外規定の適用のある学会には制限があり、どのような場合でも例外規定の適用があるわけではありません。先の場合の日本化学会による学会発表の場合であれば問題ありませんが、例えば、新聞記者を呼んで記者会見を開いた場合には、例外規定の適用は受けることはできないと考えられています。
例外規定を受けることができる場合とはどんな場合であるのか、例外規定の適用を受けるためにはどんな手続きが必要なのかは、学会発表前に良く把握しておく必要があります。基本的には、例外規定に頼らないことが一番です。先に特許出願を行ってから、学会で発表する習慣を持ちたいものです。
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弁理士 平野泰弘(2006年6月更新)