【Q】特許ライセンサーが倒産したら、どうなる?
精密機械メーカーから特許ライセンスを受けて医療用内視鏡の製造販売を行っています。ところが半年ぐらい前から、この精密機械メーカーの時計部門の経営が芳しくないようで、事業売却計画などが発表されています。仮に倒産した場合、我々ライセンシーにどのような影響があるのでしょうか。
【A】債務整理による特許権移転などがあると、ライセンスを受けられないことがある
ライセンサーが倒産した場合、無策のままでは困難な状況を迎える
仮に精密機械メーカーが倒産した場合、その保有する特許権を正当に引き継ぐ者が現れないと、原則消滅します。特許権消滅後、ライセンシーは医療用内視鏡の製造販売に対するライセンス料を支払う必要がありません。
しかし通常、このようなことは皆無で、実務上はその精密機械メーカーに対する債権者が特許権を差し押さえることになります。この場合、特許権者がその精密機械メーカーから別の会社などへ変わることになります。こうなったときに、ライセンスを受けている通常実施権について、特許庁に対して登録の手続きを済ませていないと、新たな特許権者に対して通常実施権を保有している事実を主張することができません(特許法第99条)。
なぜなら、当事者同士の合意だけで発生する通常実施権が登録されている事実がなければ、新たな特許権者は誰が通常実施権を保有しているのか分からないからです。
困難な状況に陥る前に、先んじて手を打つ必要がある
通常実施権の登録を済ませている場合であっても、安心することは早計です。例えば、新たな特許権者は債権を回収する目的でライセンスの更新時期などに対し、厳しいライセンス条件を提示してきた場合、事実上、ライセンス契約を継続することができなくなることも十分あり得ます。
ライセンサーが倒産する危険性のあることを察知した場合には、将来起きることを十分予測した上で、その特許権を先んじて買い上げるか、またはその特許権を使用しなくても済む別の技術を採用するなど、具体的措置を検討する必要があります。
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弁理士 平野 泰弘(2007年3月更新)