SMBCコンサルティング 視野が広がると、ビジネスは拡がる

解決情報 ビジネストレンド

【Q】企業スローガンの作り方は?

創業以来、様々な事業に取り組んできました。間口が広がりすぎて、会社の基本姿勢が取引先から分かりにくくなっているようです。そこで、企業理念を示すスローガンを作りたいのですが、どのような点に留意すればよいでしょうか。


【A】個性があって、長持ちするスローガンを

差異化が重要、5年ぐらい使えるものが望ましい

 コミュニケーション上の効果という点では、広告コピーのキャッチフレーズと企業スローガンはかなり共通点があります。短くて、インパクトがあり、他の企業のスローガンとの差別化が重要です。大きな違いは、企業全体をカバーする、あるいは串刺しにするフレーズでなくてはならないと同時に、企業スローガンはある程度、長持ちする必要があるということです。企業の基本姿勢を示すものなので、少なくとも5年くらいは変えずに使えるだろうという視点で作成する必要があります。

 分りやすかった企業スローガンの一つとして、「C&C、コンピュータ&コミュニケーションのNEC」があります。ストレート、端的であり、ハードとソフトの対照を表現しているため、「技術に優れ、人間的な側面にも強い」「近未来において需要の高いコンピューターとコミュニケーションの両面に強い」といった、先進的かつ人間的企業というメッセージ性が伝わり、NEC、日本電気の企業イメージアップに大いに貢献したと思われます。

 同様に分かりやすかった歴史的傑作に一つに、「ハートの銀行」という第一勧業銀行のスローガンがあります。財閥系でない金融機関としての基盤の弱さを「大衆の心に近い」という企業姿勢にスライドさせ、「ハート」をマークとともに表現することで都市銀行としてサプライズ効果を長期間持続させました。

 米国の企業の例でみると、業界二位のレンタカー会社、AVISの「困難なことに挑戦します」と、電話のトップ企業であるAT&Tの「正しい選択」との好対照は、業界の内容と順位を反映し、どちらもしっかりした戦略的方針に基づいた企業スローガンだと言えます。アメリカン・エキスプレスの「出かけるときは忘れずに」は、企業スローガンというより、もっとストレートな、カードというサービスのコンセプトを直接表現しており、印象的で企業イメージを知らず知らずにアップしてしまう巧みなスローガンと言えるでしょう。


英語を使ったスローガンもこれからの主流

 グローバルにも通用して、日本国内でも理解できるスローガンは、新しい流れです。傑作と思われるのはTOYOTAの「DRIVE YOUR DREAMS」。簡潔で、車の本質に迫り、かつ、日本人でも感覚的に理解できます。ドライブという動詞の持つ意味の多義性を生かして、夢、ドリームというやはり、平易で膨らみのあるイメージ豊かな言葉と結びつけて、世界一になろうとするTOYOTAに相応しいスローガンになっています。それ以前の「FUN TO DRIVE」はやや平板なきらいが拭えなかったのに比べて、力強さと広がりが出て、一段と素晴らしい出来上がりとなりました。

 企業スローガン作りは、企業哲学の本質と核心をストレートに分かりやすく、そして、インパクトとサプライズ効果を考えて表現できれば合格です。そして、企業によっては、グローバルの展開を想定できれば満点なのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「解決情報」の内容につきましては、作成時点における事実や一般的な解釈を示したものである点をご了解の上、ご活用下さい。


跡見学園女子大学マネジメント学部教授 福田優二 (2007年7月更新)


<お薦めセミナーはこちら>



関連リンク