【Q】遅刻、欠勤者の賃金カットは可能か?
当社は、社員全員が月給制です。遅刻、欠勤して、いくら注意しても、平気な顔をしている従業員がいます。行動を改めないため、賃金カットを考えていますが、実際に行ってもいいのでしょうか
【A】不就労部分について、賃金をカットすることは適法
ノーワーク・ノーペイの原則で遅刻控除や欠勤控除ができる
労働者の労務の提供がない場合は、使用者は賃金を支払う義務はなく、労働者は賃金を請求する権利も持たないという考え方のことを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。例えば、午前9時出社の会社で、30分遅刻した場合は、その30分の不就労部分については、賃金を支払わずに済みます。ただし、ノーワーク・ノーペイの原則を適用して、遅刻控除や欠勤控除を行うには、日給月給制を採用していることを前提としています。
月給制とは、1カ月を単位にいくらというように、月単位で賃金を決定することをいいます。1カ月の労働日数や労働時間数などに関係なく、さらに遅刻、欠勤等の不就労部分も賃金を一切控除しないで、1カ月分全額を支払うタイプを「完全月給制」というのに対して、遅刻や欠勤等の不就労部分の賃金を控除して支払うタイプを「日給月給制」といいます。
上限である月給の1割を超えた分を、次月に控除することが可能
懲戒処分の一つとして「減給」があります。「減給は、1回の額が平均賃金の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」(労働基準法第91条)と規定されています。いわゆる「ペナルティ」を課す場合の考え方です。
よくあるケースとして、遅刻を30分単位で賃金から控除している場合に、10分の遅刻をしたことに対して30分の遅刻控除をするというものがあります。これは10分の不就労部分をノーワーク・ノーペイの原則により控除し、残りの20分の部分については、ペナルティを課しているというようにとらえます。20分のペナルティ相当分が平均賃金の半額に至っていないようなペナルティを課すことは、違法ではありません。
また、遅刻が月に数回になったとしても、その月に支払うべき月給の1割を超えてペナルティを課してはなりませんが、その場合、超えた分を次月の賃金から控除することは可能です。なお、減給の取り扱いについては、就業規則上に根拠を必要としますので、減給の制裁を行う可能性がある場合は、就業規則にも必ず規定するようにしてください。
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社会保険労務士 朝比奈睦明(2006年3月更新)
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