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ヒット商品番付


2017年のヒット商品番付

2017年11月30日発表

2017年のヒット商品番付 昨年11 月に劇的勝利を収めたドナルド・トランプ米大統領の動向に注目が集まった2017 年。環太平洋パートナーシップ(TPP)協定やパリ協定からの離脱に加え、北朝鮮へ強硬姿勢を見せるなど、日本にとっても地政学的リスクの高まった年であった。日本経済においては実質GDP 成長率が7 四半期連続でプラス成長し、日経平均株価は11 月9 日に取引時間中としては1992 年1月以来25 年10 カ月ぶりとなる2 万3000 円台を回復するなど、今後の動きから目が離せない。一方で政治においては、衆議院が解散し総選挙が実施された。民進党の一部が小池百合子都知事を代表とする「希望の党」に合流、その動きを受けて立憲民主党が結成されるなど波乱の展開を見せたが、結果は自民党の圧勝。与党と各野党との議席差がさらに広がることとなった。
こうしたなか、今年も各界の若手が注目を集めた1年でもあった。今年上半期は、史上最年少でプロに昇格した中学生の藤井聡太四段が29 連勝を果たし棋界新記録を打ち立て話題を独占。同じ中学生では卓球の張本智和選手がワールドツアー史上最年少優勝を成し遂げその頭角を表したほか、フィギュアスケートでグランプリ(GP)シリーズ第1 戦ロシア大会で3 位、第3 戦中国大会で2 位と安定した実力を示してGP ファイナルへと出場を決めた樋口新葉選手(16 歳)が注目を集めるなど、スポーツ界でも10 代の選手の活躍が目立った。
また、産業界でも「技術」の進歩が着実に進んでいる。特にITS(Intelligent Transport Systems・高度道路交通システム)で必要となる「自動運転技術」において、情報通信技術の発展とデータ活用の進展を背景に、各社が開発競争を繰り広げ無人走行に成功したケースも登場。加えて、国主導の公道での実証実験もスタート。高速道路における完全自動運転システムの2025 年を目途とした市場化に向けて大きな一歩を踏み出した。これら技術の進展は人々の生活スタイルを大きく変えるものであり、今年は他にもその可能性を秘めた新たな商品・サービスが多く見られた。こうした技術・サービス革新に期待を寄せつつ、今年のヒット商品番付を発表したい。 2017年のヒット商品番付 2017年のヒット商品番付 さまざまなSNSが誕生しては消えていく昨今において、日々存在感を増しているのが「Instagram(インスタグラム)」だ。昨年、従来の画像投稿に加え24時間後に投降した動画・画像が自動で削除される「Instagram Stories」や、ライブ配信などの機能を追加。総務省が7月に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、インスタグラムの利用率が全年代平均で20.5%と前年比6.2%上昇するなど、その人気を強固なものとしている。インスタグラムに投稿した際、被写体としてフォトジェニックなモノやコトを指す「インスタ映え」は消費に大きな影響を与えるとして、利用者だけでなく企業も動向に注目。消費者庁が15歳以上3000人を対象に行った「平成28年度消費生活に関する意識調査」では「写真や動画をSNSに投稿するためにとった行動」という質問について、日帰りを含む旅行(45.6%)、外食(38.7%)、イベントに参加(26.6%)という回答がある一方で、「撮影を目的に行動したことはない」という人は28.7%にとどまっており、SNSを起点とした消費行動が活発であることがうかがえる。
「インスタ映え」と並び今年顕著だったのは「ツイッター政治」だ。ドナルド・トランプ米大統領は、記者会見の場でなくツイッターで発言を繰り返して連日ニュースを賑わせている他、国内でも10月に行われた総選挙において立憲民主党が活発なツイッター活用で注目を集めた。選挙終了後、立憲民主党代表・枝野氏は「政治に関心の薄い層に向けて短い言葉でメッセージを発信することで、フォロワーの皆さんが自らの判断で活用していくといういい循環が生まれた」と、その効果について述べている。SNSによって社会の様相が変わりつつある一方で、スマートフォンの登場以来、苦しい状況が続いているのが家庭用ゲーム業界だ。2016年の日本国内市場規模合計は3,147億円(15年:3,302億円)で右肩下がりの状況だが、今年はそんな中でも光明が見えた年であった。特に話題となったのは3月に任天堂より発売された「Nintendo Switch」。携帯型、据え置き型、両方でのプレーを可能とし、発売から17週で国内販売台数100万台を突破。据え置き型ゲーム機として史上最速を記録し、品薄状態が続く。
一方、スマートフォン業界ではアップル社からiPhone発売10周年を記念して「iPhone X」が登場。iPhoneは発売以来の累計販売台数が世界中で12億台を超え、売上は推定で83兆円に上るとされ、スマートフォン市場を牽引してきた。今回の10周年記念モデルも、顔による認証機能「Face ID」やワイヤレス充電、ホームボタンを廃止した全面有機ELテクノロジーを採用したディスプレイなど、従来にはなかった新機能・デザインが盛り込まれている。国内での発売開始日に購入可能な予約分は数分のうちに売り切れ、発売当日のアップルストア表参道店には500人以上が並ぶ列ができ、相変わらずの人気ぶりを見せつけた。 2017年のヒット商品番付 今年、新世代として最も注目を集めた1人が史上最年少中学生プロ棋士・「藤井聡太四段」であり、21世紀生まれの最初のプロ棋士となった。2016年12月24日に初の公式戦で現役最年長(当時)の加藤一二三九段と対戦。初戦に勝利後、7月2日に開催された竜王戦で佐々木勇気五段(現六段)に敗れるまで29連勝を果たす新記録を打ち立てた。その一方で、歯に衣着せぬ言動で人気を集め、19世紀・20世紀・21世紀、それぞれ3世紀に生まれた棋士たちと対局した唯一の棋士である「加藤一二三九段」が77歳で惜しまれながらも現役を引退。棋界にとってはスターの誕生と引退が同時に起こった話題豊富な年であった。
そして今年は例年に増して、「10代のスポーツ選手」に脚光が集まった。卓球では8月に行われたチェコオープンで張本智和選手(14歳)が元世界ランキング1位のティモ・ボル選手を破りワールドツアー史上最年少優勝を成し遂げ頭角を表し、フィギュアスケートでは今季シニアデビューを果たした本田真凜選手(16歳)や、GPシリーズ第1戦ロシア大会、第3戦中国大会で表彰台に上りGPファイナルに出場が決まった樋口新葉選手(16歳)らが注目を集めている。男子においても、今年12月に20歳を迎える宇野昌磨選手がGPシリーズ第2戦のカナダ大会で優勝、第5戦フランス大会でも2位に入賞しGPファイナル進出を確定、羽生結弦選手に続く日本のエースとして期待されている。ほかに女子プロゴルフでも、昨年、日本女子オープンゴルフ選手権競技で史上初となるアマチュア優勝を飾り史上最年少でツアー出場資格を得た畑岡奈紗選手(18歳)が、9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでプロ初勝利、その翌週の日本女子オープンでも40年ぶり史上2人目の連覇を達成し勢いに乗っている。2020年東京五輪の追加種目となったスケートボードからも、国内だけでなく米国大会でも好成績を収めている西村碧莉選手(16歳)とその姉の西村詞音選手(19歳)、二人の若手注目選手が登場。日本コカ・コーラとパートナーシップ契約を結ぶなど、オリンピックに向け期待が高まる年となった。 2017年のヒット商品番付 人々のライフスタイルへ大きな影響を与える技術や出来事、商品が話題となった。例えば、近年の情報通信技術の発展とデータ活用の進展を背景に「自動運転技術」が注目を集めている。これまで自動車メーカーやサプライヤーによる独自の公道実証実験に加え、今年からは国主導のプロジェクトによる公道での実証実験がスタートし、実用化に向け大きな一歩を踏み出した。ITSの実用化が本格化すれば、高齢化が進行する中山間地域における人物・物流の確保や、物流における人材不足の解消など、さまざまな分野での問題解決につながっていく。
また、AIの急速な発達にともない今年新商品として各社から続々と発売が発表されているのが「AIスピーカー」だ。今秋、LINEの「Clova WAVE」、Googleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」が発売を開始。ソニーも12月に製品を投入する予定だ。主な機能は音声解析、ユーザー趣向解析、Webサービスと連携した情報提供など。なかには、メガバンクと提携し、残高照会・入出金明細照会サービスを行う動きも出ており、AIによる生活の変化を肌で感じる商品が多数登場した1年だった。ライフスタイルの変化にともない新たな「食事」のかたちやサービスも生まれつつある。中でも、下ごしらえ済みの食材が届くサービス「料理キット」がさまざまなニーズに対応し人気を高めつつある。サービス開始当初は高齢者をターゲットとするものが多かったが、共働きの若い世代の利用が増えた結果、2013年7月に販売を開始したオイシックスドット大地の「Kit Oisix」の会員数は5.5万人(2017年6月末現在)とここ1年で約45%増加した他、シャープも今年10月より参入するなど、まだまだ市場は広がりそうだ。食メディア「Chewin’Mag」が2200人を対象に行った調査結果では、約4割が料理キットを利用したことがあると答えており、その普及ぶりがうかがえる。またサービスも多様化しており、昨年9月創業のブレンドでは有名シェフが監修したメニューの発売を開始。写真映えのするものが多くインスタグラムなどSNSを通して若者間で人気が広がり、会員数は昨年11月より約10倍になったという。
さらに近年の禁煙ブームを受け、加熱式「電子タバコ」の販売が伸びている。2016年4月より全国発売を開始したフィリップ モリス ジャパンの「IQOS(アイコス)」に続き、ブリティッシュ・アメリカン・タバ コ・ジャパンが「glo(グロー)」を今年10月から全国販売を開始。また、福岡で先行発売をしていたJTの「Ploom TECH(プルーム・テック)」も6月から東京都内での販売を開始し、3社の加熱式「電子タバコ」が出揃った。 2017年のヒット商品番付 2020年東京五輪にむけた準備が着々と進行する中、東京はインバウンドも意識しさらに魅力的なまちへと成長している。
爆買いが収束し百貨店事業が苦戦を強いられる中、4月にオープンした「GINZA SIX(ギンザシックス)」。高級ブランド店が次々とオープンする一方で老舗も数多く残る銀座は、東京を訪れる訪日外国人の約半数が訪れるという人気のスポットだ。そんな中、GINZA SIXは高級感を前面に押し出し、土産物や観光案内など訪日外国人へ向けたサービスも充実させ、国内の富裕層のみならず訪日外国人の取り込みも狙う。東京上野動物園では6月、5年ぶりとなるパンダの赤ちゃん「シャンシャン(香香)」が誕生した。名前は応募総数32万2581通の中から、最終的に小池百合子知事によって決定された。母子のお披露目は12月の予定で、来場者数アップが期待される。また、「ガチャガチャ」と呼ばれ子どもの玩具として親しまれていた「カプセル玩具」は、大人をターゲットとした商品も展開されると同時に、ものづくり大国日本を象徴するお土産品としてインバウンドからも人気を集めている。例えば、九谷焼の老舗「九谷陶泉」は若い人にも手にとってほしいとの思いから、若手作家が手作りした箸置きを販売機で売り出し、1716年創業の老舗「中川政七商店」は国内屈指のフィギュア製造会社「海洋堂」と共同してガチャガチャ用の郷土玩具を制作した。 2017年のヒット商品番付 最近では、3月に東京駅に「TOKYO GASHAPON STREET(トーキョーガシャポンストリート)」がオープン。また、タカラトミーアーツはインバウンドを意識したプロジェクト「JAPANESE CAPSULE TOY GACHA」を展開。各施設と協業でガチャマシンの設置を進めている。その結果、成田国際空港には162台(2017年7月現在)、関西国際空港に263台(2017年7月現在)、旭川空港にも34台(2017年7月現在)など設置場所は増えており、多くのインバウンドが利用することで売上を伸ばしている。
また、人気の「豪華寝台列車」にも、インバウンドの利用者が増えてきている。今年も東西それぞれで新列車が運行開始。JR西日本からは「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、JR東日本からは「TRAIN SUITE 四季島」がお目見えした。特に四季島においては2017年度12-3月期の海外からの申し込みが1割を超えた。観光庁は10月、有識者や観光協会等を集め「『楽しい国 日本』の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」の初会合を開き「コト消費」拡大に意欲を見せており、オリンピックに向けて「インバウンド:『コト』消費」への期待も高まっている。 2017年のヒット商品番付 アメリカで2016年後半に流行りだし、輸入される形で日本でも広がった「ハンドスピナー」は、現在子どもだけでなく大人からも人気を集めている。もともとは、フロリダ州に住む女性が重症筋無力症の娘でも遊べる玩具として開発したもの。2005年に特許が失効していることに目を付けた人物が2016年にクラウド・ファンディングで出資者を募集し、7億円近い資金を集めて注目を集めた。そしてアメリカの有名ビジネス誌が採り上げたことをきっかけに大ヒットとなり、日本でも人気となった。現在は、日本精工のグループ会社であるNSKマイクロプレシジョンが自社のベアリング機能を活かして12分間もまわり続ける高性能のハンドスピナーを発表するなど、国内独自の動きも見え始めている。
不調が続く出版業界からも話題を集めたベストセラーが誕生している。その一つが227万9千部発行したのが『うんこ漢字ドリル』(文響社)だ。「うんこ」という忌避されがちな言葉を、「子どもの興味をひく」という理由で、あえて全例文で使った小学生向けのドリルは、あまりの人気に書店で品切れが続出。発売後2カ月で発行部数が140万部を超えた異例の大ベストセラーとなった。
食品業界も、従来は食欲減退効果があるためタブーとされていた青を使用した「青色食品」が続々と登場している。ヴィレッジバンガードコーポレーションが昨年末より「青い紅茶」の販売を開始した他、スペインで生まれた青いワイン「gik」の日本発売がスタート。食品×青色という意外性とフォトジュニックな色が、先述の「インスタ映え」との相乗効果で人気を高めているようだ。

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