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Business Watch

SMBCマネジメント+(プラス)

山田淳一郎 氏

「Job(作業)の人」と「ビジネス(事業)の人」

人には色々な考え方の人、価値観の人がいる。仕事において、与えられた仕事を教えられた通りにこなし、それが自分の仕事であると割り切って働き、それで務めはきちんと果たしていると胸を張るタイプがいる。多分、働く人の80%位はそうなんだろうと思う。私はこのタイプの人を、点の仕事をする「Job(作業)の人」と呼んでおり、こういうタイプもいなければ困るのだが、物足りないと感じている。

それに対して、仕事は目的達成に向けて挑戦する対象であり自分を磨いてくれるもの、ゆえに様々に工夫努力して目標達成を追い求めるべきもの、と捉えて頑張る人もいる。点を線に、面に、立体にという具合に発想を展開し拡大し、努力して働く人だ。

このタイプの人は単純作業には向かない人が多い。それゆえに一つの仕事に慣れるとやり甲斐を感じなくなり、だらけたり、時には、この会社や上司は自分に向いていないと考えて退職することもある。ゆえに組織(会社)はこの社員がやりがいを失わぬよう配属を検討せねばならない。私はこの歯応えのある仕事を喜ぶタイプの人を「ビジネス(事業)の人」と考えている。

前者「Job(作業)の人」は、仕事は苦しく、できればしたくないものであり、単に給料を稼ぐ手段と考える傾向の人が多い。ときには9時から5時を無難に過ごすのに一所懸命というけしからん輩もいる。しかし、後者「ビジネス(事業)の人」は、目標が実現できた時には達成感が得られることなどから、挑戦のしがいがありゲーム性もあり、仕事は成長のステップであり手段であると捉えている人が多い。

後者の姿勢で仕事に取り組むと、経験や知識が増え、成長に繋がる。また、その仕事を成功裡にやり遂げると仲間や会社、顧客から評価され、感謝される対象となり、結果として仕事そのものがさらに楽しいものとなる。

そして、こういう社員の多い組織(会社)ほど、環境への変化対応力が高いのは当然であり、現在のビジネスの拡大にも繋がる。また、新しいビジネスモデルの創設に繋がるので会社の成長可能性も高くなる、という効果がある。逆にこういう人がいない会社は、やがて衰退していく運命にあると言っても言い過ぎではないと思う。

ゆえに、点を線、面、できれば立体にまでする社員、すなわち、工夫して仕事をし、時には新しいビジネスモデルを事業化する社員がたくさんいる会社はハッピーである。私は、我がグループの若者たちに、点を立体にまで拡大する「ビジネス(事業)の人」になってほしい、と期待している。


※本原稿は「SMBCマネジメント+(プラス)」2017年3月号(3月1日発行)に掲載されたものです。

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マネプラ・オピニオンについて

ビジネス情報誌「SMBCマネジメント+(プラス)」にて、下記の6名の識者の方々が、自身の視点でまとめた経営者へのメッセージを巻頭コラム「マネプラ・オピニオン」として連載しています。

【執筆者一覧】

  • 冨山 和彦 氏(株式会社経営共創基盤(IGPI) 代表取締役CEO)
  • 伊丹 敬之 氏(東京理科大学イノベーション研究科 教授、一橋大学 名誉教授)
  • 遠藤 功 氏(株式会社ローランド・ベルガー 会長)
  • 増田 寛也 氏(東京大学公共政策大学院 客員教授、株式会社野村総合研究所 顧問)
  • 楠木 建 氏(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授)
  • 山田 淳一郎 氏(山田コンサルティンググループ株式会社 代表取締役会長)

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