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SMBCマネジメント+(プラス)

梅澤 高明 氏

「デザイン経営」とイノベーション

「デザイン」が経営テーマとして注目を集めている。

デザインは従来「意匠」と訳され、製品やウェブサイトなどの外観(形状、模様、色彩、質感)に関する機能と考えられてきた。

しかし世界ではデザインの対象と役割が大きく拡大。ネットサービスの発展、さらにIoTや共有経済の普及がこの変化を加速している。

デザインの対象は、製品やユーザーインターフェース(UI)から、リアル空間のサービス、そして顧客の体験(UX:ユーザーエクスペリエンス)全体に広がっている。

デザインの役割の拡大も重要だ。顧客の体験全体をデザインするとはすなわち、「ブランド構築」で主導的役割を果たすことを意味する。

「イノベーション」もデザインの重要な役割だ。顧客の行動を観察し、潜在ニーズを発見することはデザイナーの重要なスキル。新たに得られた顧客ニーズに関する洞察が、新製品・サービス考案の起点となる。

このようなアプローチを「デザイン思考」と呼ぶ。デザインは、技術革新と並んでイノベーションの両輪なのである。

「ブランド構築やイノベーションのためにデザインを重要な経営資源として活用する」経営を「デザイン経営」と呼ぶ。

デザイン経営を機能させる条件が二つ。第一にデザイン責任者が経営チームにいること。第二に、デザイン部門が事業企画の最上流工程から参画することだ。

例えば製造業では、事業企画と設計部門が新製品のスペックを決め、これを受けてデザイン部門が製品の外観を造り込む、逐次処理の工程が一般的だ。しかし、事業企画、設計エンジニア、デザイナーが一つのチームとして上流から協働する方が、コンセプトの先鋭化や具現化により有効だ。

この度、特許庁/経済産業省の研究会で提言をまとめた。デザイン経営を通じたブランド力とイノベーション力の向上は、日本企業にとって急務である。



※本原稿は「SMBCマネジメント+(プラス)」2018年6月号(6月1日発行)に掲載されたものです。


マネプラ・オピニオンについて

ビジネス情報誌「SMBCマネジメント+(プラス)」にて、下記の6名の識者の方々が、自身の視点でまとめた経営者へのメッセージを巻頭コラム「マネプラ・オピニオン」として連載しています。

【執筆者一覧】 2017年4月号~

  • 伊藤 元重 氏(東京大学 名誉教授、学習院大学国際社会科学部 教授)
  • 近藤 誠一 氏(近藤文化・外交研究所 代表、元文化庁長官)
  • 梅澤 高明 氏(A.T.カーニー 日本法人会長)
  • 藤原 帰一 氏(東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
  • 坂東 眞理子 氏(昭和女子大学 理事長、総長)
  • 三品 和広 氏(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

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