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SMBCマネジメント+(プラス)

梅澤 高明 氏

ナイトタイムエコノミー

「ナイトタイムエコノミー」が注目を集めている。都市や観光地において、夜間の消費機会を増やし経済活性化につなげることを意味する。

きっかけは改正風営法(2016年施行)だった。法改正で、従来は違法だったダンスクラブの深夜営業が一定のエリアで可能となった。また、インバウンド観光市場のさらなる拡大にはコト消費の拡大が不可欠。その文脈からも夜間のサービス消費が注目されるようになった。

海外の主要観光都市の多くでも、夜間経済は重要なテーマだ。例えばロンドンは「24時間経済」を掲げ、金・土曜の地下鉄の終夜営業を実施。ロンドンの夜間GDPを3.9兆円と試算し、夜間の経済活動と雇用の拡大を進めている。

日本でも、筆者が支援した自由民主党「時間市場創出推進議連」や観光庁の検討会議で取組みの大枠が決められた。重要なポイントは3つ。

第一にコンテンツとベニュー(場)の拡充だ。ダンスクラブや単発の音楽ライブだけでなく、ロングラン公演のショーや伝統芸能など、多様な夜間コンテンツの開発が求められる。美術館や歴史的建造物など「ユニークベニュー」の活用も進めたい。

第二に、深夜の交通手段の拡充が不可欠だ。都市内の主要な鉄道とバス路線の営業時間を深夜・早朝まで延長したい。タクシーの相乗りサービスの普及、ライドシェアの解禁も重要なテーマだ。

第三に訪日客向けのプロモーションとチケッティングの仕組みづくりも重要だ。

ナイトタイムエコノミーの事業者にとってのメリットは、限られた追加費用で事業を拡大できることだ。既存の施設・設備の活用で固定費を増やさずに、「夜間」という新たな時間市場を開拓できるからだ。生活者や観光客にとっては、ライフスタイルや都市観光の楽しみ方が多様になることが大きなメリットだ。

夜の文化は多様性の温床だ。観光や経済の面だけでなく、文化都市としての発展の上でもナイトタイムエコノミーは重要テーマなのである。



※本原稿は「SMBCマネジメント+(プラス)」2018年12月号(12月1日発行)に掲載されたものです。


マネプラ・オピニオンについて

ビジネス情報誌「SMBCマネジメント+(プラス)」にて、下記の6名の識者の方々が、自身の視点でまとめた経営者へのメッセージを巻頭コラム「マネプラ・オピニオン」として連載しています。

【執筆者一覧】 2017年4月号~

  • 伊藤 元重 氏(東京大学 名誉教授、学習院大学国際社会科学部 教授)
  • 近藤 誠一 氏(近藤文化・外交研究所 代表、元文化庁長官)
  • 梅澤 高明 氏(A.T.カーニー 日本法人会長)
  • 藤原 帰一 氏(東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
  • 坂東 眞理子 氏(昭和女子大学 理事長、総長)
  • 三品 和広 氏(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

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