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SMBCマネジメント+(プラス)

坂東眞理子 氏

働く高齢者

2018年4月の完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.59、日銀短観でも中小企業の人手不足感は強い。19年3月卒の大学生の就職内定も好調である。

こうしたタイトな労働市場状況の中で65歳以上の高齢者の就業者数が伸びているのが目に付く。15歳から64歳の生産年齢人口は12年から17年までの間8,055万人から7,604万人と451万人も減少しているのに、就業者は250万人増加している。なかでも65歳以上の就業者が211万人も増加しているのである。女性の45歳から54歳の就業者も増えており、こうした中高年の就業者の増加が若年層の人口・就業者の減少を補っている。生産年齢人口の定義を18歳から70歳に変えるべきと提案したいが、現実が先行している。

中高齢労働者の多くはパートなどの非正規雇用が多いと思われるが、働く意欲と能力を持つ高齢者の就業が増えているのは人口減少が進む日本において心強い現象である。

もちろん働き盛りの女性が育児や介護のために非労働力化したり、短時間労働で働いている状況を改善するため保育所の整備や介護サービスは重要である。それとともに中高齢者がより付加価値の高い仕事に就き、より高い賃金を得るようにする対策が必要である。

そのために高齢の就業者が高度なスキルを身に着ける機会の整備が必要である。インバウンドの観光客への対応には英語や中国語が求められるであろうし、PC操作はどの仕事にも不可欠である。人生が長くなり、就業期間が長くなる中で個々人が自分の能力をブラッシュアップするか、新しいニーズにこたえて開拓する努力が求められる。例えば現在も有効求人倍率が0.4と低い事務職は将来AIに置き換えられる公算が大きいので、より高度なIT技術や対人ケアサービスの技能を身に着けるべきだろう。

大学などの教育機関もこうした中高年の社会人の学びのニーズにこたえる学習の機会を提供するよう変革しなければならない。



※本原稿は「SMBCマネジメント+(プラス)」2018年8月号(8月1日発行)に掲載されたものです。


マネプラ・オピニオンについて

ビジネス情報誌「SMBCマネジメント+(プラス)」にて、下記の6名の識者の方々が、自身の視点でまとめた経営者へのメッセージを巻頭コラム「マネプラ・オピニオン」として連載しています。

【執筆者一覧】 2017年4月号~

  • 伊藤 元重 氏(東京大学 名誉教授、学習院大学国際社会科学部 教授)
  • 近藤 誠一 氏(近藤文化・外交研究所 代表、元文化庁長官)
  • 梅澤 高明 氏(A.T.カーニー 日本法人会長)
  • 藤原 帰一 氏(東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
  • 坂東 眞理子 氏(昭和女子大学 理事長、総長)
  • 三品 和広 氏(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

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