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Business Watch

ヒット商品番付


2016年のヒット商品番付

2016年11月30日発表

2016年のヒット商品番付 2016年は昨年に続き、今後の社会や経済に大きく影響を与える出来事が多く見られ、まさに昨今言われる「VUCAの時代」(※1)を象徴する1年であった。例えば、1月下旬に日銀政策決定会合で「マイナス金利」の導入が決定。6月には来年4月実施予定の消費税10%への引き上げが2019年10月まで延期された。また、東京五輪のコスト見直し、築地市場の豊洲移転の延期など、これからの在り方を考えさせられる出来事もあった。海外でも、大方の予想を裏切りイギリスがEUを離脱。アメリカの次期大統領選挙でヒラリー・クリントン氏が敗北し、従来の政治家と一線を画す主張を持つドナルド・トランプ氏が勝利を収め、世界中がその動向に注目している。一方で、過去の蓄積が花開き、未来につながる出来事が多く感じられた1年でもあった。例えば、リオ五輪では史上最多の41個のメダルを獲得、次世代の活躍もあり2020年の東京五輪に弾みがついた。また、大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」は62年前にラジオドラマでヒットし、以降何度もテレビドラマ化、映画化が繰り返されてきたヒット作「君の名は」を想起させるタイトル、また「シン・ゴジラ」のヒットも初代ゴジラから62年目のこと。ほかにも、1996年誕生の任天堂のゲーム「ポケットモンスター」から派生したスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモン GO」など、過去を土台に新たなものが次々と生まれている。
さらに、さまざまな地域の頑張りが目立った1年でもあった。今年の北海道は台風で大きな被害を受けたものの、3月の新幹線開通、札幌ドームを本拠地とする日本ハムファイターズの日本シリーズ制覇などで注目を集めた。また広島では、5月にアメリカのオバマ大統領が、現職大統領として初めて原爆死没者慰霊碑を訪れ、献花並びに演説を行い世界の注目を集めた。その広島を本拠地とする広島東洋カープは、日本ハムに敗れ日本一は逃したものの25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした。大阪でも万博記念公園内に昨年秋開業した国内最大級の大型複合施設であるEXPOCITYが順調に推移、来場者数の年間目標を前倒しで達成。その他、バスタ新宿、京都鉄道博物館など各地に新たな施設が登場している。こうした地域の躍進を期待しつつ、今年のヒット商品番付を発表したい。 2016年のヒット商品番付 2016年のヒット商品番付 今年も日本人が大活躍 過去の蓄積が花開いた2016年だが、今年も日本人の活躍に元気づけられた1年であった。リオ五輪では金メダル12、銀メダル8、銅メダル21の計41個の史上最多のメダルを獲得。男子体操で個人総合2連覇、団体の2冠を達成した内村航平氏をはじめとしたベテラン勢の活躍や、柔道男子90kg級を制したベイカー茉秋氏など新しいヒーロー・ヒロインの台頭が目立った。また陸上男子400メートルリレーでは、下からバトンを手渡す世界でも珍しい「アンダーハンドパス」を採用し、個人個人の力を補い、チームワークで銀メダルを勝ち取った。そうした日本選手たちの快進撃は2020年に行われる東京五輪に期待を持たせるものでもあった。また、東京工業大学の大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞。これは14年の物理学賞、15年の生理学・医学賞と物理学賞のダブル受賞に続く3年連続のもので、日本のサイエンス分野での研究の強さを世界に示した。エンターテインメント面でも、タレントの小坂大魔王さんが扮する千葉出身のシンガーソングライター・ピコ太郎が世界134カ国に配信したデビュー曲「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」が、松田聖子以来26年ぶり7人目のトップ100入りとなるアメリカ・ビルボードのシングルチャート77位にランクイン。その人気ぶりはアメリカのドナルド・トランプ次期大統領の孫娘が熱唱するほど。来年以降の活動が注目される。 2016年のヒット商品番付 エンターテイメントでもヒットが続く任天堂がプロデュースし、Googleから独立したナイアンティックが開発・販売を手掛けたスマートフォン用ゲームアプリ「ポケモンGO」も世界的な大ブームとなった。7月6日にアメリカなどで配信が始まってから、1カ月の間に世界で1億3,000万ダウンロードを達成。また、売上高は2億650万ドルに達し、モバイルゲーム市場催促の記録をつくった。映画においても、新海誠監督の劇場版アニメ「君の名は。」の累計興行収入が194億円を突破(11月27日現在)。日本映画の歴代興行収入ランキングで、これまで不動だったスタジオジブリの宮崎駿監督作品で占めるトップ3の牙城を崩し、3位に食い込んでいる。また、ゴジラシリーズの最新作「シン・ゴジラ」も累計興行収入80億円(11月16日現在)を超えた。ちなみに、本作によりシリーズ累計動員数は1億人を突破。邦画で動員1億人を超えたのは実写では初のことだという。2000年の没後200年展の頃から人気が出始めた画家・伊藤若冲の生誕300年を記念して開催された「若冲展」(東京都美術館)も空前の賑わいをみせる企画展となった。宮内庁所蔵の「動植綵絵」30幅と相国寺所蔵の「釈迦三尊像」3幅が初めて一堂に東京に会したこともあり、31日間の開催期間で約44万6,000人もの人が訪れた。 2016年のヒット商品番付 「地域の力」に期待 今年は台風による被害に見舞われ、多くの被害を受けた北海道。一方で、3月26日には新青森―函館北斗間の北海道新幹線が開業。また、札幌を本拠地とする北海道日本ハムファイターズが4年ぶりにパ・リーグを制覇し、続く日本シリーズでも激闘の末、10年ぶりに日本一の座に輝くなど明るい話題もあった。なかでも大車輪の活躍だったのが大谷翔平選手。投手として10勝、打者として打率3割2分2厘、本塁打22本の成績を挙げ、シーズン終了後に行われたワールド・ベースボール・クラシックの侍ジャパン強化試合においても活躍、来年3月の本大会に期待を持たせた。一方、惜しくも日本シリーズで日本ハムに敗れた広島東洋カープだが、リーグ制覇は25年ぶりのこと。地道な活動によって着実にファンを増やしており、優勝を決めた試合のテレビ視聴率は広島地区で平均60.3%、瞬間最高視聴率は71.0%という驚きの数字をたたき出し、近年の「カープ女子」ブームも納得できるものであった。また、5月にアメリカのオバマ大統領が核兵器の廃絶を訴えて訪れるなど、広島にとってはなにかと話題が多い年でもあった。北海道や広島のほかにも、地域の力に期待できる出来事も多かった。大阪の万博記念公園内に昨年11 月に開業した大型複合商業施設「EXPOCITY」は開業から1年間の来場者数が2400万人を突破。当初予想の1700万人を大幅に上回った。また、4月には東京・新宿に約1,200便のバスが発着する大規模高速バスターミナル「バスタ新宿」が開業。7月には国立西洋美術館が東京都で初となる世界文化遺産に登録されている。京都でも、4月29日に京都鉄道博物館がグランドオープンし、11月に来館者数100万人を達成。さまざまな地域で日本人、訪日観光客問わず、集客するための施設が生まれている。 2016年のヒット商品番付 躍進する技術  AIの加速も昨年から続き、話題の中心であった。例えば、グーグル子会社が開発した囲碁の「アルファ碁」が韓国のプロ棋士に勝利。将棋ではコンピュータがプロ棋士を下してきたものの、「囲碁は10年先」とされてきたものを覆した。また、東京大学医科学研究所が導入する人工知能「ワトソン」が、白血病患者の特殊なタイプの遺伝子を解析、治療に役立っている。これは患者の治療に貢献した国内初のケースとのこと。ほかにも、今後、あらゆる分野での活躍が期待されている。画像共有アプリ「インスタグラム」も進化を続ける。初登場は2010年だが、今年になってからは広告機能がさらに充実し、芸能人の活用も目立った。昨年夏にフィリップモリスが発売した加熱式タバコ「IQOS」は、25分野300人もの科学者やエンジニアによって生まれたものだ。20年前から開発を始めていたが、マイクロチップの進化やリチウムイオン電池の進化を待たねばならず、つい最近完成した。8月の段階で累計販売台数は100万台を突破、従来型のタバコの販売に影響を及ぼし始めたとの指摘もある。各社の最先端技術を詰め込んだ国産スポーツカー市場が活性化している。日産自動車は「GT-R 2017年モデル」を7月に、トヨタ自動車は8月にマイナーチェンジした小型スポーツカー「86」を発売。また、スバルも「BRZ」、ホンダ自動車は「NSX」を発売。往年の車好きのシニア層を中心に近頃のエコカーとは違った市場を拡大中だ。 食の分野でも着実に技術は進歩しているが、最近、熟成肉に注目が集まっている。いろいろな手法があるが、なかでも「ドライエイジング」の人気が高い。これは温度や湿度、風を調節することで肉を熟成。乾燥が進む過程で付着する微生物が生成する酵素によって、タンパク質を旨み成分のアミノ酸に変え、味を高める手法のこと。調理器具や機器の進化もあり、多くの店で食べられるようになっており、我々の生活に新たな楽しみを与えている。

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